コラム(各種情報)

新第9回任天堂の特許戦略(1)

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

 1.任天堂の特許戦略は、単に「自社の技術や製品を法的に守る」にとどまらず、「独自の遊び(ユーザー体験)そのものを守り、競合との差別化を図る」という非常にユニークかつ強力な特徴を持っています。

(根拠となるURL)

任天堂の知財戦略:無形資産の保護と価値最大化に向けた統合的分析

 2.任天堂の特許戦略の神髄:「動詞」を所有する。

任天堂の知的財産戦略において最も特筆すべき点は、キャラクターや世界観という「名詞」だけでなく、プレイヤーがゲーム内で行う「振る」「狙う」「動かす」「つながる」といったゲームプレイの「動詞」そのものを特許として保護・所有している点にあります。

 ハードウェアとソフトウェアの一体化: ファミリーコンピュータの「十字キー(支点構造)」、Wiiの「リモコンによるモーション操作」、Nintendo Switchの「Joy-Conの脱着・HD振動」など、ハードとソフトが密接に連動して生まれる「独創的な操作感」を徹底的に特許化しています。

 模倣困難性の構築: 他社が同じような「遊びの体験」を提供しようとした際、これらの特許網が強力な参入障壁(法的・技術的な壁)となり、安易な模倣を防いでいます。

(根拠となるURL)

任天堂の知財戦略:無形資産の保護と価値最大化に向けた統合的分析

 

 3.「パテントファミリー」による綿密な権利網の形成

任天堂は1つの基礎的な発明に対して、派生する技術や用途別の改良発明を何重にも出願・権利化する「特許ファミリー」の手法を巧みに用いています。

 例えば、新型ハードウェアやコントローラを開発した際、「本体とコントローラの機械的・電気的接続」「複数のプレイスタイル(マルチプレイ等)を支える制御」「脱落防止などの支持・充電機構」といった多角的な視点から同時に特許出願を行います。

 さらに、出願を審査に長く係属(キープ)させることで、競合他社の動向を見ながら柔軟に権利範囲を調整・追加できる体制を整えています。

(根拠となるURL)

特許庁(特許ファミリー制度・継続出願および分割出願の活用についてのガイダンス)

https://www.jpo.go.jp/

任天堂の知財戦略:無形資産の保護と価値最大化に向けた統合的分析

 

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