コラム(各種情報)

新第3回 「オンラインゲームの重要特許」とは(1)

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

新第3回 「オンラインゲームの重要特許」とは(1)

 

 オンラインゲームおよびマルチプレイゲームの分野において、特許は「ユーザー体験の維持」「サーバーの負荷軽減」「マネタイズ(ガチャや課金)の仕組み」などを保護するために非常に重要な役割を果たしてきました。

 オンラインゲームの発展を支え、あるいは業界で大きな論点となった重要特許・システム領域について解説します。

 

1. マッチング・通信システム(マルチプレイの根幹)

 複数人のプレイヤーをリアルタイムで同じセッションに結びつける技術や、通信のラグ(遅延)を軽減するための同期技術は、多くのオンラインゲームで必須となるため、各社が特許を取得しています。

 概要: ネットワーク上のプレイヤーの通信状態(Ping値や地理的距離など)を動的に監視し、快適に対戦や協力プレイができるように適切なグループ(ルーム)へ自動割り振りするシステムなど。

 意義: 「相性の合わない人とマッチしてゲームにならない」というストレスを防ぎ、スムーズなオンライン体験を提供するための技術的裏付けとなっています。

 関連特許: 特許第6880053号(セガ:対戦ゲームにおける自動マッチング制御)

 URL: https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-6880053/15/ja

 

2.「ガチャ(ランダムアイテム提供)」の排出制御システム

 ソーシャルゲームやオンラインゲームの収益の柱である「ガチャ(アイテム抽選)」の仕組みも、多くの特許出願・権利化がなされてきた領域です。

 概要: 単なるランダム抽選だけでなく、「一定回数回すと確実にレアが出る(天井機能)」や「排出確率の動的制御」「重複アイテム救済システム」などの制御ロジック。

 意義: ユーザーの射幸心を適切にコントロールしつつ、公平性や透明性を担保するためのプログラム上の工夫が特許として保護されています。

 関連特許: 特許第6623694号(バンダイナムコエンターテインメント:特定の付与条件や天井判定を含むアイテム提供システム)

 URL: https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-6623694/15/ja

 

3.フレンド・コミュニティ連携機能(登録ユーザー間の通信)

過去の大型訴訟(任天堂とコロプラの訴訟など)でも争点の一つとなった、プレイヤー同士の繋がりを管理するシステムです。

概要: 登録済みの特定のユーザー同士(フレンド)に限定した協力プレイの招待、状態の通知、足跡・フォロー機能などの通信制御。

意義: ソーシャル性を高めてゲームの継続率を上げるためのコミュニティ機能は、現在の基本プレイ無料オンラインゲームの生命線であり、各社が権利化に力を入れてきた分野です。

 関連特許: 特許第5937920号(任天堂:通信ゲームにおけるプレイヤー同士の追跡・マッチング接続制御技術)

 URL: https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-5937920/15/ja